■解説文
ヨーロッパで勃発した第一次世界大戦は、不況でいきづまっていた日本資本主義にとって戦争景気をもたらしました。ヨーロッパの国々の戦乱は生産性も低下させ、植民地支配下にあったアジアへの輸出がとまり、そのすきに日本の物品がアジアに輸出されました。また、連合国から軍需物資の注文が増大し、製鉄・機械・造船・化学工業などがめざましい発展をしました。「船成金」・「鉄成金」とよばれる大金持ちも現れ、三井・三菱・住友などにみられるように日本政府の膨大な軍事費がそれらの軍需工場に注がれ、財閥を中心にした独占資本家が形成されました。 急激な経済の発展は長くは続かず、戦後恐慌・震災恐慌・金融恐慌におそわれ、世界恐慌へとつながつていきました。戦時にはとぶように売れた品物も、戦後は欧米諸国が生産性を回復したことにより、日本国内では物価の高騰という形で労働者の生活を圧迫し、中小企業は倒産し、産業・銀行などは合併され資本は集中していきました。 |