■解説文
明治政府は地租改正(1873〜81年)を全国で実施し、土地制度と租税制度の改革を行ないましたが、廃藩置県(1879年)まもない沖縄県では旧慣を温存することで、旧支配層の抵抗をやわらげる施策がとられました。政府が土地整理事業として、沖縄の近代的土地・租税制度に着手したのは1899年からです。 1)地割制度の廃止と農民の土地所有権の確立 2)村単位の納税から土地所有者個人の納税 3)物品税・人頭税の廃止と地価の2.5%の地租 私的土地所有が確立しましたが、農民のなかには重税に耐えられず土地を手放す人たちもいて、土地を失う農民と、より多くの土地所有者になる農民とができてきました。土地を失った農民たちは、農家の雇人となる者や出稼ぎ労働者や移民として沖縄を離れる者もいました。日本の資本主義体制下に沖縄も組み込まれ、新たな収奪の波が押し寄せました。土地整理もふくめて諸改革は民衆の意識変革をもたらし、村に縛られていた家・個人を開放し、個としての自我を確立させていったのです。 |