Kajimai - Yomitanson Gallery

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民話

比謝右京

今から何百年前の尚真王時代、比謝ムラに比謝右京(ひーじゃうちょう)という大変な力持ちがいたそうです。ある時、比謝右京と力勝負をしようと、八重山(えーま)アカハチという力持ちがやって来ました。八重山アカハチが比謝右京の家を訪ねると、比謝は牛を引いて畑を耕しにいって留守でした。

畑でその話を聞いた比謝右京は「八重山アカハチが力勝負に来ているのなら、すぐに家に帰るから」と言って、牛の前足を肩に載せて大急ぎで帰ってきました。それを見たとたん八重山アカハチはすっかりおじけづいてしまいました。

比謝右京は八重山アカハチに「力勝負に来たのだから、家に入りなさい、お茶でもどうぞ」と言って、もてなしました。そして妻に「灰皿を持って来なさい」といって持って来させたのですが、その灰皿というのがシンメーナービ(主に芋を煮る煮炊き用の大窯)だったそうです。比謝右京の妻も力が強かったようです。

それを見た八重山アカハチは、妻が軽々とシンメーナービを持ってくるくらいだから、比謝右京にかなうはずがない、と思い知りました。八重山アカハチは「あなたと勝負をしても私はとうていかなわない」と言って帰ったそうです。

比謝右京はそれくらいの力持ちだつたそうです。